今でこそ発達障害と分かるが・・・
- Kazue Counseling Room
- 2024年7月14日
- 読了時間: 4分

発達障害という言葉が認知されて、その特性などについても、誰でもインターネットで調べられるようになったのは、ここ10年くらいでしょう。
以前は、そのような言葉さえなく、「少し変わった子だね」「あの人変わってるよね」という表現をされてきたかもしれない。
しかし、当の本人は、相当辛い思いをしているはずです。
私が出会うクライエントさんの背景に発達障害の特性があるのに、今まで親をはじめ、誰にも理解されず、自分自身も「みんなができることくらいはできるようになりたい」「頑張ってるのに、できないのは自分がダメだからだ・・・」「人に合わせても、うまくいかないし、自分の素でいってもうまくいかない」一体どうすればいいの?
気づいたら周囲の人が自分から離れていった。
毎回毎回怒られるけど・・・どうしてかなあ
こんな苦しみを感じながら、思春期を過ごしてきて、社会に出たら一発で上司から怒鳴られたり、先輩に厳しく当たられるなど、ついにはうつ状態になったり、会社に行けなくなってしまうことがある。
こうなると、ことは重大です。
自尊心はズタズタ、自己肯定感なんて低くなるのは当たり前。
なぜならば、これまで自分としては頑張って生きてきただけに、なんとか学生時代を過ごしてきても、社会に出たら、給与に見合った成果を出す必要があるので、環境としては厳しい。
自分が特性があることに気づくのは、人を介してでないと無理です。
自分にとっては当たり前のことで、それは誰しも同じですね。
今、発達障害という診断名ができたことで、学校でも支援を受けられるシステムが完全とは言えないが、でき始めているし、社会に出てからも、手帳を取得することで、障がい者枠として就職ができる。
この制度を利用しない手はない。
残念ながら、自分の特性に関して、大人になってから気づくと、まずはほとんどの人が、この障害という言葉に反応して、受け入れられず、落ち込んでしまう。
自分は少数派の人間なんだと思って、ネガティブな捉え方をしてしまいます。
早いうちから、自分の特性を知り、できないことは、どのようにカバーしていくか、支援を受けるかなど方法論を持っていること、そして自ら人にも、その点について話せることが大事です。
「私は、忘れがちなので、メモを取るようにしています。それでも、抜けることがあるので、気がついたら声がけしてください。」など、自分で堂々ということが必要なのです。
ある中学生は、周囲の友人が、充分分かってくれているので、前日にラインで知らせてくれたりするそうです。それをお互いに自然に助け合っているのです。
自分が受け入れて、自分を知る。
特性は、ネガティブなことではない。自分ができないことに、無駄な努力をして苦しむのではなく、それをカバーする方策を分かっていることが大事なのです。
私は、道を覚えるのが苦手で、今やナビがあるので、なんの心配も要りません。
すでに、そのできなさを知っているので、人になんと言われても「そうなの、全く覚えられないの、よろしくね」と答えていました。
この程度ならばいいのですが、気をつけていても、物にあたって壊してしまうとか、仕事で何度読み直しても、必ず読み飛ばしがあってミスしてしまうとか、上司に言われて、元気に返答したものの、全く記憶に残らず忘れている状態とか、まだまだたくさんあります・・・
早いうちに理解していれば、自分に負荷をかけない仕事選びができたり、あらかじめ職場に自分の特性を知らせて、協力を仰ぐなど、いろいろな方策が取れるのです。
まだまだ現状では、当事者は、自分の特性を知っても隠して頑張ろうとする人が多いですが、そういうことを続けていると、うつ状態になったりします。
自分を卑下するのはやめて、(卑下する必要がないことですので)アピールして理解を深めてもらいましょう。
当事者でないと、理解できないものです。
だから皆さんが周囲の人に、教えてあげて欲しいのです。
自分をお世話してもらうのではなく、周囲の人に伝えて理解を深めてもらうのです。
まだまだ社会一般の人は、この点について理解度が薄いです。
私は、学校で、職場で小学生に教えるように、わかりやすく先生方や親御さん、会社スタッフに伝えてきましたが、皆さんの理解力の低さにびっくりしています。
人は、自分中心な生き物です。
人を思い遣ったり、自分以外の他人が辛い思いをしていることへの配慮が、随分と低い世の中になっていると感じています。
大人がそうですから、子供は当然大人を見て育っていますから、最近の教室内での人間関係も、殺伐としている様子が見えます。
さあ、大人がもう一度謙虚になって、自分自身が知らないことを理解しようとする心を取り戻しましょう。
そして、当事者の方々は、せっかくある支援を使って、少しでも自分が楽に生きられる工夫をしましょう。
もう頑張らなくていいのです。
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