父は偉かった
中学校で出会ったお父様
お子さんが不登校で、その問題に向き合おうと毎週学校へ足を運んだ。
お父様は、多忙なエリート会社員、そんな時間はあるはずがない。
私が出会ったときは、お父様はちょうど仕事の形態を変更し始め、何日か自宅で勤務できる状態にされていた。しかし、その意味するところは大企業の働き手であれば想像できることでしょう。お父様はエリート会社員だったと思われる。
子どもがどうして教室に入れないか、単純な疑問からスタートし、子どもの気持ちを理解することに少しずつご自身の気持ちを解放されていった。
子どもは、小学校は成績優秀な頑張り屋だった。中学から急に不登校が始まった。
何が原因なのか?最初は当たり前だが、原因究明と子供が教室に戻れるための解決策が学校に来る目的であった。
子どもは、時々学校に来れたり、教室には入れたり、またひきこもったりの連続で、子どもとご両親の長い戦いが始まった。
お父様は、自分の価値観や生きてきた社会を水準に、子どもを観察していた。これくらいのことで、、、自分の時は学校に行かないなんてあり得なかった、、、些細な事で行けないなんて、精神的に弱いのではないか?どの親御さんも、普通に考える事だ。
どう対処したら良いのか? 言ってもダメだし、言わなければ引きこもったままだし、、、心配は募っていった。
本人は,来たくても来れないという気持ちを分かろうとしてみましょうよ。
はあ、、、
何度も足を運び、子どもの様子を語りながら、父は自然と子どもの気持ちを考えるようになっていった。ほんの些細な父と子供のやり取りや、子どもの表情に父が気が付き始めた。かといって、継続的に学校に来れるわけではない。でも、着実に葛藤しながらも父と子供の距離は縮まっていった。
家族の在り方、親と子の関係性、子どもが苦しかったことに少しずつ理解を示されていった。一歩社会に出れば、大企業の中で優秀な方であろうと想像がつく人が、1人の父親として、わが子に懸命に向き合っていらっしゃる姿には、私も感動した。
お父様は、卒業まであきらめることなく頑張った。ご事情があって来られなかったお母様もご一緒に、家族の関係性が大きく変化していくのを見せて下さった。
その子は、親から、もう自分で歩き始めていける一歩を踏み出す勇気をもらったことでしょう。
子どもの不登校は、時に家族の在り方を考えさせてくれる大きなプレゼントと言えるだろう。
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